膝の安定性:外側側副靭帯と大腿二頭筋

アメリカ産アスレティックトレーナー(ATC)。リハビリ/トレーニング/治療、どれにおいても『解剖学』の知識と理解は欠かせないと日に日に感じています。解剖学をもっと勉強するため、そして私の知識が誰かの為になればいいなと思いブログを書いています!

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はじめに

こんにちわ😄

今日のブログでは膝の安定性について、外側側副靭帯と大腿二頭筋の関係を見ていきたいと思います

先に結論だけ

先にこの記事の結論だけ言ってしまいます!

  • 大腿二頭筋は外側側副靭帯を挟み込む様にして腓骨と脛骨の外側に付着している
  • この構造的特徴から大腿二頭筋は外側側副靭帯の機能を動的に補強していると考えられる

膝の安定性:外側側副靭帯と大腿二頭筋

まず最初は外側側副靭帯と大腿二頭筋の解剖学をおさらいしていきます

外側側副靭帯の構造

最初に外側側副靭帯の構造について見ていきます

外側側副靭帯の構造

外側側副靭帯は大腿骨外側上顆と腓骨頭に付着します

左の写真は右膝を下から見た図、右の写真は右膝を上から見た図で、赤矢印が外側側副靭帯です

外側側副靭帯は膝の関節包には付着せず、外側側副靭帯と膝の関節包の間には膝窩筋腱と滑液包があります

大腿二頭筋の構造

次に大腿二頭筋の構造について見ていきます

大腿二頭筋の構造

大腿二頭筋は長頭と短頭があり、近位ではそれぞれ別の部位に付着し遠位では共同腱となります

長頭の付着部
短頭の付着部

大腿二頭筋長頭は近位では半腱様筋と共に坐骨結節に付着します

その他には仙結節靭帯にも付着します

大腿二頭筋短頭は近位では大腿骨粗線外唇の大臀筋の下方、大内転筋の外側、外側広筋の内側のスペースに付着します。その他の付着部は大腿骨外側上顆の上部、そして外側大腿筋間中隔です

大腿二頭筋の長頭と短頭は共同腱となり腓骨頭に付着します

ただ、この共同腱は付着部付近で二股、もしくは三股に分かれます

そしてこの分かれた共同腱は外側側副靭帯を挟む様に走行します

大腿二頭筋腱と外側側副靭帯
赤が腱、青が靭帯

分かれた腱が付着する部分は腓骨頭と脛骨外側顆です

大腿二頭筋腱の3股構造
赤が腱、青が靭帯

さらに脛骨に向かう繊維は2本あります。1つは外側側副靭帯よりも外側にあり、もう1本は外側側副靭帯よりも内側を走行します

これにより外側側副靭帯は、「腓骨頭に付着する繊維」と「外側側副靭帯の外側を通って脛骨に付着する繊維」によって前後に挟まれます

また、「外側側副靭帯の外側を通って脛骨に付着する繊維」と「外側側副靭帯の内側を通って脛骨に付着する繊維」によって内外側から挟まれます

外側側副靭帯をサポートする大腿二頭筋

今まで見てきた様に大腿二頭筋は単純に腓骨頭に付着するのではなく、いくつかの繊維に分かれて外側側副靭帯を挟みながら脛骨外側顆にも付着します

では、この大腿二頭筋による外側側副靭帯の挟み込みにはどのような役割があるのでしょうか?

大腿二頭筋の動的サポート

個人的には大腿二頭筋が収縮して外側側副靭帯を挟み込むことで、外側側副靭帯の役割である膝の内反制動を動的に補強しているのだと考えています

靴を脱ぐ際も靴紐をしっかり閉めていると靴が足を圧迫してなかなか靴が脱げませんが、靴紐を緩めるとすんなりと靴が脱げます。

これと同じ様に大腿二頭筋が収縮することで外側側副靭帯を挟み込んで圧迫すると、外側側副靭帯の動き(伸長)も制限され、それはつまり膝の内反の動きの制限に役立つと考えています

まとめ

今回のまとめです!

  • 大腿二頭筋の遠位腱はいつくかの股に分かれ、外側側副靭帯を挟み込む様にして腓骨頭と脛骨外側顆に付着している
  • この構造的特徴から大腿二頭筋は外側側副靭帯を動的に圧迫して膝の内反制動を補強していると考えられる

参照資料

1 ネッター解剖学アトラス原書第5版

2 Atlas of Anatomy

3からだの構造と機能 2 腰椎 骨盤 股関節 下肢

4 Wikipedia:Fibular collateral ligament

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