
こんにちわ😄

今回の記事では膝周りにある脂肪体の構造とその動きについてまとめてみようと思います
膝周りの脂肪体とその動き

今回見ていく膝周りの脂肪体は以下の4つです
膝蓋下脂肪体 | Infrapatellar Fat Pad |
膝蓋上脂肪体 | Suprapatellar Fat Pad |
大腿骨前脂肪体 | Prefemoral Fat Pad |
Pericruciate Fat Pad | (日本語訳が不明なので英語のまま) |

これらの脂肪体の構造と動きを1つずつ見ていきます
膝蓋下脂肪体
構造


膝蓋下脂肪体は基本的には膝蓋腱、脛骨、大腿骨の間のスペースを埋める様な位置取りをしています

膝蓋下脂肪体は関節包の繊維膜内、滑膜外に位置します

ただし機能的には脂肪体を滑膜の延長として捉えている論文もあります(参照資料1)

膝蓋下脂肪体の付着部に関しても研究が進んでおり、現在は以下の部位に付着すると考えられています(参照資料1、2)
膝蓋骨 | 内外側の半月板前角 | 内外側のKaplan’s靭帯 |
膝蓋腱 | 脛骨骨膜 | 顆間切痕(膝蓋下滑膜ヒダを通して付着) |
動き

膝蓋下脂肪体は膝の屈曲・伸展時にその形態を変えます



このように屈曲時には膝蓋下脂肪体は膝の奥深くに入り込む様に動き、伸展時には反対に表層に出てくる様に動きます
膝蓋上脂肪体
構造


膝蓋上脂肪体は膝蓋上嚢と大腿四頭筋腱の間に位置します

膝蓋上嚢とは膝の関節包の一部です(図では膝蓋上包と記載)

膝蓋上脂肪体は膝蓋下脂肪体と違い関節包外(繊維膜外)の組織になります
動き

膝蓋上脂肪体も膝の屈曲・伸展時にその形態を変えます



このように屈曲時には平坦になるように脂肪体が”つぶれ”、伸展時にはより立体的な形となります
大腿骨前脂肪体
構造


大腿骨前脂肪体は膝蓋上嚢と大腿骨の間に位置します

位置関係としては膝蓋上嚢の後方に大腿骨前脂肪体、膝蓋上嚢の前方に膝蓋上脂肪体があります

大腿骨前脂肪体も関節包外の組織となります
動き

大腿骨前脂肪体も膝の屈曲・伸展時にその形態を変えます



大腿骨前脂肪体の動きは膝蓋上脂肪体と似ており、屈曲では平坦につぶれ、伸展では厚みが戻る様に動きます
Pericruciate Fat Pad
構造

Pericruciate Fat Padは十字靭帯付近にある脂肪体を指します


日本語訳が見つからなかったので英語のままのPericruciate Fat Padとしています

Pericruciate Fat Padは正確には大腿骨顆間窩、ちょうど前十字靭帯と後十字靭帯の間に位置していると考えられています


この写真は右の十字靭帯とその付着部をを上から見た図ですが、赤丸部分にPericruciate Fat Padがあると考えられます
動き(予測)

Pericruciate Fat Padの動きに関する記述は本や文献では見つかりませんでしたが、十字靭帯の間にあることや、他の脂肪体の動き方を参考に予測を立ててみました

前提として前十字靭帯と後十字靭帯は膝内旋位ではお互いが「絡み合う」様な状態となり、どちらも緊張します

逆に膝の外旋位ではどちらの靭帯も緊張が解けます

膝の屈曲時には内旋動作も自然と発生するので、膝を曲げると十字靭帯同士は絡み合って緊張するはずです

さらに膝の屈曲時では膝蓋下脂肪体が関節の中に入り込む様に後方に押し込まれてきます

これらのことを考えると、膝の屈曲時では「十字靭帯の緊張」と「膝蓋下脂肪体の後方への動き」によって、「十字靭帯の間や前方のスペースは狭くなる」のではないかと考えられます

その場合であればPericruciate Fat Padは十字靭帯の間のスペースから押し出され、唯一スペースが残っている「後方に移動」するのではないかと考えます


この図は右膝の脛骨関節面を上から見ており、青丸が前十字靭帯と後十字靭帯の間のスペースです



私の推測ではありますが、膝の屈曲時では青丸のスペースが低下することでPericruciate Fat Padは後方に移動(せざるをえない)するのではないかと考えます
まとめ

今回のまとめです!
脂肪体 | 位置 | 屈曲時 | 伸展時 |
膝蓋下脂肪体 | 脛骨、膝蓋骨、大腿骨の間 | 深部に潜る様に動く | 表層に押し出される様に動く |
膝蓋上脂肪体 | 膝蓋上嚢と大腿四頭筋腱の間 | 潰されて平坦になる | 立体的になる |
大腿骨前脂肪体 | 膝蓋上嚢と大腿骨の間 | 潰されて平坦になる | 立体的になる |
Pericruciate Fat Pad | 十字靭帯の間 | 後方に押し出される | 十字靭帯の間に戻る |
参照資料
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