長母趾屈筋と足関節背屈制限

足部/足首

アメリカ産アスレティックトレーナー(ATC)。リハビリ/トレーニング/治療、どれにおいても『解剖学』の知識と理解は欠かせないと日に日に感じています。解剖学をもっと勉強するため、そして私の知識が誰かの為になればいいなと思いブログを書いています!

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こんにちわ😄

今回の記事では長母趾屈筋の走行を振り返りつつ、その走行と足関節背屈制限の関係についてみていきたいと思います

長母趾屈筋と足関節背屈制限

まず長母趾屈筋の付着部を簡単に確認し、その後に走行や背屈制限との関わりについて見ていきます

長母趾屈筋の起始と停止

長母趾屈筋はその名の通り、母趾を屈筋させる筋肉です

長母趾屈筋は大まかに言うと下腿の後面から発生し、足首の後ろを通って母趾に付着する筋肉です

参照資料1

正確な起始は腓骨の後面、停止は母趾末節骨の底面です

長母趾屈筋の走行:足関節後方部

ここから長母趾屈筋の足関節後方部の走行を見ていきます

長母趾屈筋は下腿の後面から足底に向かって走行しますが、その途中で「距骨」、そして「踵骨」にある溝を通ります

その距骨と踵骨の溝をそれぞれ見ていこうと思います

距骨の溝

まずは距骨の溝から見ていきます

長母趾屈筋と距骨

距骨の後方には骨の出っ張りである「関節突起」があります

その関節突起は「距骨後突起」と呼ばれます

参照資料2

この距骨後突起はさらに内側と外側の2つの結節に分かれます

参照資料2

この2つの結節はそのまま「内側結節」と「外側結節」と呼ばれます

この2つの結節の間には「長母趾屈筋腱溝」と呼ばれる溝があります

参照資料2

この溝を長母趾屈筋腱が上から下に走行します

ですので長母趾屈筋は距骨の後方にある溝にはまり込む様な形で走行します

踵骨の溝

次は踵骨の溝についてです

長母趾屈筋と踵骨

踵骨の溝は骨を後から見るとわかりやすいです

踵骨を後ろから見ると上内側に出っぱった「バルコニー」のような部分があります

参照資料3

この部分は「載距突起」と呼ばれる部分で、その名の通り、”距骨を載せる突起部分”です

この載距突起の下面に「長母趾屈筋腱溝」があります

参照資料3

この部分を長母趾屈筋が走行します

位置的には載距突起を長母趾屈筋がくぐるように走ります

長母趾屈筋の走行と足関節背屈制限

距骨と踵骨にある溝を長母趾屈筋が走ることがわかったところで、これがどう足関節背屈制限につながるかと見ていきたいと思います

背屈制限:距骨

まず距骨に着目していきます

足関節が背屈する際は、距骨は脛骨に対して後方にスライドする必要があります

距骨が後方にはスライドするには距骨の後突起の溝にはまっている長母趾屈筋が緩む必要があります

しかし長母趾屈筋が適切に伸長しなければ、この距骨の後方スライドを妨げることによって足関節の背屈を制限しかねません


背屈制限:踵骨

次は踵骨です

踵骨の場合は足関節が背屈する際に距骨に対して外反する必要があります

ただし長母趾屈筋の走行は載距突起を距骨に押し上げる様に働き、過剰な緊張は踵骨の外反を妨げるような力がかかります

それゆえに長母趾屈筋の伸長が制限されている場合、踵骨の外反制限から足関節の背屈制限へとつながる恐れがあります


このように長母趾屈筋の過緊張などは距骨の後方スライド、踵骨の外反をそれぞれ制限する可能性があります

ただ反対に足関節の底屈を安定させ、効率よく力を地面に伝える役割もあります

例えば歩行時の立脚期で前足部に重心が移る際、体重によって足関節には背屈への力がかかりますが、これを距骨や踵骨を安定させながら前足部(母趾)に力を伝えているのは長母趾屈筋の役割が大きいと考えています

まとめ

今回のまとめです!

  • 長母趾屈筋の起始は腓骨、停止は母趾末節骨
  • 長母趾屈筋は距骨と踵骨にあるそれぞれの溝を走る
    • 距骨の溝は後突起の内側突起と外側突起の間
    • 踵骨の溝は載距突起の下面
  • 足関節背屈時、距骨は脛骨に対して後方にスライドする必要があり、その後方スライドを長母趾屈筋が制限した場合は足関節背屈制限につながる可能性がある
  • 同様に、足関節背屈時では踵骨は距骨に対して外反する必要があるが、この動きも長母趾屈筋が制限した場合は足関節背屈制限が現れる可能性がある

参照資料

1 Atlas of Anatomy p.411

2 ネッター解剖学アトラス原書第5版 p.511

3 ネッター解剖学アトラス原書第5版 p.513

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