頚椎の鈎状突起:位置、形、機能について

アメリカ産アスレティックトレーナー(ATC)。リハビリ/トレーニング/治療、どれにおいても『解剖学』の知識と理解は欠かせないと日に日に感じています。解剖学をもっと勉強するため、そして私の知識が誰かの為になればいいなと思いブログを書いています!

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こんにちわ😄

今回の記事では頚椎のある「鈎状突起(かぎじょうとっき)」の位置と形、そして機能について見ていこうと思います

頚椎の鈎状突起:位置、形、機能について

鈎状突起とは?

鈎状突起は頚椎にある骨の出っ張りです

参照資料1

この突起は第3〜7頚椎の椎体上部、そして第1胸椎の椎体上部にもあります

参照資料2

鈎状突起の位置

鈎状突起はC3〜T1の椎体上部にある骨の出っ張りですが、その位置を詳しく見ていきます

位置
参照資料1

この写真は第4頚椎を上から見た図ですが、鈎状突起は椎体上部の側面にあります

上部側面の中でも前方部分にはなく、後方部分にかけて縁のように位置取っています

鈎状突起の形

ここでは鈎状突起の形を見ていきます

鈎状突起の位置や形を見ると、後で出てくる機能に関してもある程度予想は出来ます

鈎状突起は椎体上部と一緒に見ると「縁のついたお皿」のような形をしています

参照資料1

この縁は椎体上部を取り囲んでいる訳ではなく内外側面だけにあります

この縁の高さはC3からC6までは徐々に高くなっていき、C7からは低下していきます(参照資料3)

鈎状突起の機能

鈎状突起の位置と形を見たところで、その機能を考えてみようと思います

今までの見てきたものや論文に記載されているものから考えると、鈎状突起の機能には以下のようなものが含まれているのではないかと思います

  • 頚椎の側方移動と回旋の制御
  • 椎間孔の形成と神経根の保護
  • 運動軸形成の補助

これらの機能があるのではないかと考える理由について1つずつ説明していきます

頚椎の側方移動と回旋の制御

まず初めは「頚椎の側方移動と回旋の制御」についてです

鈎状突起がある場合、鈎状突起と上位の椎体がぶつかることで側方移動を制限する仕組みが考えられます

鈎状突起がない場合は側方移動は椎間関節や椎体間の靭帯、周囲の筋肉によって制限されることになると考えられます。

回旋に関しても同様なことが考えられ、下位の鈎状突起が上位の椎体とぶつかることで過剰な回旋を制限している思われます

そして側方移動や回旋を制限する目的として考えられるのが、頚椎の横突孔を走っている椎間動脈の保護です

参照資料1
参照資料4

左の写真が横突孔、右が椎骨動脈の写真です

過剰な側方移動や回旋は椎骨動脈に負担をかけることが予想され、その負担軽減のためにも鈎状突起という骨による関節運動の制御をしているのだと思われます

次に「椎間孔の形成と保護」について見ていきます

椎間孔の形成と保護

椎間孔とは椎体の間に出来る穴状のスペースで、ここを脊髄から出てきた神経が神経根となって通ります

参照資料5

頚椎の椎間孔は上位椎体の椎弓根と下位頚椎の椎弓根によって上下に挟まれ、後ろからは椎間関節、前からは鈎状突起によって四方から骨性のトンネルの様な形となっています

ですので鈎状突起は椎間孔を形成する一部分と言えます

また椎体の間には椎間板がありますが、椎間板ヘルニアが起きた場合にはこの鉤状突起によってヘルニア部分の椎間孔への侵入を多少防ぐ役割もあるのかと考えられます

3つ目は「運動軸形成の補助」です

運動軸形成の補助

この機能は1つ目の「側方移動と回旋の制御」にも関わってくるのですが、首を動かした時に異常な動きが出にくいようにする機能が鈎状突起にはあると考えられます

頚椎の側屈運動を例にするとわかりやすいかと思いますので、それを図で表したのが以下となります

側屈運動の際は鈎状突起があることでそこを支点として動くことが可能だと考えられます

運動時に定まった支点がない場合は関節の不安定性などにも繋がることが考えられ、鈎状突起はある程度は運動時の支点の役割もあるのかと考えらえれます

まとめ

今回のまとめです!

  • 鈎状突起(かぎじょうとっき)は第3〜7頚椎と第1胸椎の椎体上部外側にある骨性の隆起
  • 椎体がお皿だとすると鈎状突起はお皿の縁のような形をしている
  • 鈎状突起の役割として考えられるの、①頚椎の側方移動と回旋の制御、②椎間孔の形成と神経根の保護、③運動軸形成の補助、などがある

参照資料

1 ネッター解剖学アトラス原書第5版 p.20

2 ネッター解剖学アトラス原書第5版 p.21

3 Morphometry of the Uncinate Process, Vertebral Body, and Lamina of the C3–7 Vertebrae Relevant to Cervical Spine Surgery.Neurospine. 2019;16(4):748-755.   Published online July 5, 2019

4 Atlas of Anatomy p.15

5 Atlas of Anatomy p.6 

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