外眼筋と目の動き、その覚え方

頭部/脳

アメリカ産アスレティックトレーナー(ATC)。リハビリ/トレーニング/治療、どれにおいても『解剖学』の知識と理解は欠かせないと日に日に感じています。解剖学をもっと勉強するため、そして私の知識が誰かの為になればいいなと思いブログを書いています!

Yoshihiko TKをフォローする
SNSフォローボタン
Yoshihiko TKをフォローする

こんにちわ😄

今回の記事では「目の動かす外眼筋と眼球の動き、その覚え方についてまとめようと思います!

参照資料1

外眼筋と目の動き、その覚え方

外眼筋

まず初めに外眼筋を見ていきます

外眼筋、目を動かす筋肉は大きく「6つ」あり、それらは以下となります

<外眼筋のリスト>

  1. 上直筋
  2. 下直筋
  3. 内側直筋
  4. 外側直筋
  5. 上斜筋
  6. 下斜筋

いきなり6つも筋肉が出てくると覚えにくいですが、よく見てみると「直筋」系は4つ、「斜筋」系は2つという2種類にも分けられます

つまりは、

  • 直筋:上、下、内側、外側
  • 斜筋:上、下

これらの組み合わせで出来ていることになります

ここからはその6つの筋肉をもう少し詳しく見ていきます

直筋系(上直筋、下直筋、内側直筋、外側直筋)

まず最初は直筋系からです

直筋系には上直筋、下直筋、内側直筋、外側直筋がありますが、直筋系の特徴としてその名の通り筋肉の形が「直線状」です

参照資料1

直筋系は全て眼球の後ろにある総腱輪を起始として持ち、そこからまっすぐ眼球に向かって走行していきます

参照資料1

因みに総腱輪は輪っか状の組織で、その輪っかの中には視神経管と上眼窩裂の一部が含まれ、視神経管の中を視神経が、上眼窩裂の中を動眼神経や外転神経が走行します

参照資料2

総腱輪を起始に持つ直筋系は眼球に向かってまっすぐ伸びていき、眼球の上下左右それぞれの強膜に付着します

上直筋は眼球の上部に、下直筋は眼球の下部に、内側直近は眼球の内側部に、外側直近は眼球の外側部に付着します。これは非常にシンプルですね

参照資料1

ここまでをまとめると、、、

  • 直筋系:上直筋、下直筋、内側直筋、外側直筋
  • 直筋系の特徴:起始から停止まで真っ直ぐ走る筋肉
  • 直筋系の起始:全て総腱輪を起始に持つ
  • 直筋系の停止:筋肉の名前と眼球の停止部が一致する
    • (上直筋は上部、下直筋が下部、内側直筋は内側部、外側直近は外側部に付着する)

斜筋系(上斜筋、下斜筋)

次に斜筋系を見ていきます

直筋系はわりとシンプルでしたが、斜筋系は直筋系よりも少し複雑になります

斜筋系は1つずつ見ていこうと思いますので、まずは上斜筋から見ていきます

上斜筋

上斜筋は直筋系と同じく総腱輪を起始に持ちます

参照資料1

ただし、直筋系とは違い筋肉の走行はまっすぐではなく、一旦寄り道をします

この「寄り道」をすることで筋肉の走行が真っ直ぐではなくなります

この寄り道をする箇所は眼球の内側上部、正面から見ると眉間の近くあたりになります

参照資料1
参照資料3

この寄り道部分に「滑車」と呼ばれる組織があり、上斜筋はこの滑車に一旦向かってから眼球に向かって走行します

上斜筋が滑車に寄り道しているとも言えますが、より正確には上斜筋が滑車に括り付けられているという状態です

この滑車の存在によって上斜筋は直筋系と同じ総腱輪を起始に持ちながらも、真っ直ぐな走行ではなく違う角度から眼球に付着しています

因みに上斜筋を支配しているのは滑車神経ですが、この神経の名前の由来はこの上斜筋が寄り道をする「滑車」の部分から来ていると理解しています

そして滑車を通って角度を変えた上斜筋は眼球の上後部、ちょうど上直筋よりも後方部分の強膜に付着します

下斜筋

今までの直筋系と上斜筋は総腱輪に起始を持ちましたが、下斜筋は外眼筋で唯一、総腱輪に起始は持ちません

下斜筋は眼窩の内側部に起始を持ちます

参照資料3

下斜筋は眼窩内側部から眼球の下を通って、眼球の後下外側部の強膜に付着します。位置的には外側直筋と下直筋の間辺りです

参照資料1

やはり下斜筋も筋肉の形は真っ直ぐではなく、ただ上斜筋とは違いより丈の短い筋肉となっています

斜筋をまとめると、、、、

  • 斜筋系:上斜筋、下斜筋
  • 上斜筋の特徴:総腱輪を起始にし、滑車に寄り道してから眼球に付着する
  • 下斜筋の特徴:外眼筋で唯一、総腱輪を起始に持たず、眼窩内側部から起こる
  • 停止:上斜筋は眼球の後上方部、下斜筋は眼球の後下外側部に付着

目の動き

外眼筋の特徴について見たところで、次は眼球の動きを見ていこうと思います

目の動き

今まで見てきた外眼筋の起始と停止から考えると、眼球の動きは大きく下の6方向に分けられます

ここで疑問なのが、なぜ上直筋や下直筋などはまっすぐ上や下に眼球を動かしそうですが、実際のところは上外側や下外側に眼球を動かします

この理由としては眼球の位置と総腱輪の位置関係に由来します

参照資料4

上の写真のように、5つの外眼筋の起始である総腱輪は眼球よりも内側にあります

この位置関係により、上直筋や下直筋と言っても眼球をまっすぐ上下させるわけではなく、自然と外側方向への力も働くことになります

反対に外側直筋と内側直筋の動き方は非常にシンプルでわかりやすいかと思います

外側直筋は眼球を外側に向け、内側直筋は眼球を内側に向けます

そして一番わかりにくいので上斜筋と下斜筋の作用だと思います

上斜筋は眼球を下内側に向け、下斜筋は眼球を上内側に向けます

筋肉の名前と眼球への作用が逆になっていますね苦笑

筋肉名と眼球運動の方向が逆になってしまう理由は上斜筋と下斜筋の付着部にあります

上斜筋の停止は眼球の中央よりも後方にあります

それゆえに上斜筋が球体である眼球を引っ張った場合、眼球が下方向を向きます

同じ現象が下斜筋にも言えます

下斜筋の眼球の付着部は中心部よりも後方にあるので、収縮に伴い眼球は上に回転します

これらのことから上斜筋は眼球を下方向(下内側)、下斜筋は眼球を上方向(上内側)に向ける様に動かします

目の動きと覚え方

それぞれの筋肉がどの方向に眼球を動かすかを見て行ったところで、最後に外眼筋が動かす方向の覚え方を見ていこうと思います

非常に端的に言ってしまうと、直筋系は眼球を外側に動かす。内側直筋は例外で、その名の通り眼球を内側に動かす。斜筋系は名前と動く方向が逆ということを覚えておき、上斜筋は下内側、下斜筋は上内側と覚えます

もう少しゆっくりと説明します

目の動きと筋肉の覚え方

まずは簡単なところからです

1 前提として眼球は6方向に動く

2 直筋系は眼球を外側に動かす

直筋系は筋肉名と眼球運動の方向が重なっているのでシンプルです

そこで直筋系は眼球を外側に動かすとだけ覚えておきます

実際に外側直筋は眼球を外側方向にまっすぐ動かします

そして上直筋は眼球を上外側方向に、下直筋は眼球を下外側方向に動かします

内側直筋だけ例外ですが、「直筋系は眼球を外側方向に動かす」ということを覚えておいて、あとは筋肉名を眼球の動きを当てはめていきます

これだけで眼球の動きの6方向のうち、3方向が埋まりました

3 内側直筋は眼球を内側に動かす

次に内側直筋を考えます

内側直近はその名の通り、眼球を内側にまっすぐ動かしますのでこれも非常にシンプルです

4 斜筋系は名前と眼球運動の方向が逆

これで眼球が動く方向はあと2つとなり、残っている筋肉も斜筋系の上斜筋と下斜筋だけになりました

残っている2方向は上内側と下内側だけなので、あとはこれらに斜筋系を当てはめるだけです

最後だけ複雑にはなりますが、「斜筋は名前と動く方向が逆」とだけ覚えておけば、上斜筋は眼球を下内側に、下斜筋は眼球を上内側に動かすことがわかります

これで6つの外眼筋と6方向の眼球運動の全てがマッチしました

以上をまとめると

  1. 眼球が動く方向は6方向
  2. 直筋系は眼球を外側に動かす
    • 外側直筋は外側に、上直筋は上外側に、下直近は下外側に
  3. 内側直筋だけその名の通り眼球を内側に動かす
  4. 残り2方向(上内側と下内側)は斜筋系の担当(上斜筋と下斜筋)
  5. 斜筋系は筋肉名と眼球を動かす方向が逆
  6. 上斜筋は眼球を下内側に、下斜筋は眼球を上内側に動かす

まとめ

今回のまとめです!

  • 外眼筋は6つの筋肉から構成され、直筋系と斜筋系に分かれる
    • 直筋系は上直筋、下直筋、内側直筋、外側直筋
    • 斜筋系は上斜筋、下斜筋
  • 眼球は6方向に動く
    • 内側、外側、上内側、上外側、下内側、下外側
  • 6つの外眼筋がそれぞれ6つの方向に眼球を動かす
    • 上直筋は上外側、下直筋は下外側、内側直筋は内側、外側直筋は外側、上斜筋は下内側、下斜筋は上内側

参照資料

1 ネッター解剖学アトラス原書第5版 p.84

2 ネッター解剖学アトラス原書第5版 p.83

3 Atlas of Anatomy p.508

4 Atlas of Anatomy p.509

今回のオススメ書籍

毎回解剖学に関するオススメ書籍を紹介しています

https://amzn.to/3OahAz2

コメント

タイトルとURLをコピーしました